
Regenerative Farming又は、Regenerative Agricultureは、環境再生型農業と訳され、主に土を耕さないことと、多様な被覆作物を植えるか作物を輪作させる事で土壌の有機物(土壌の炭素含有量)の蓄積を促す農業です。
外部から肥料や堆肥を投入することなく、土の健康を再生し、作物の栄養状態、生産性を向上させるという農法で、アメリカのロデール研究所によって提唱されました。
牛と共生しながら、地球を回復させる。サステナブルなだけでなく、リジェネラティブであること。隠岐の風土に根ざした牧畑農法に通ずるこの農法であれば、うまく取り入れられるのではないか、という思いがありました。

隠岐島前で古くから行われていた「牧畑」は、牛の放牧を組み入れた輪転式農業で、土地の生産性を落とさず持続的に食料を生産する優れた仕組みです。
株式会社まきはたでは、隠岐の牧畑農法に習い、多様な植生を保持しながら牛のローテーション放牧を行うことで、土壌の流出防止と同時に有機物の蓄積を図るという形の環境再生型農業を行っています。この農法を取り入れることにより、牧場内の牧草の生産性が高まり、餌を自給できるようにすることを目指しています。

島根大学との土壌研究
牛のげっぷに含まれるメタンガスなど、畜産業が地球温暖化の一因になっているとも言われています。しかし、一方で、放牧により牛が自由に歩くと土が耕されます。牛のふん尿は肥料成分や有機物を含んでいるため、牧草へ養分を与えるだけでなく、土壌に微生物を増やす力があります。たくさんの微生物は、土壌にメタンガスやCO2などの温室効果ガスを吸収し、隔離することを可能にしています。
牛からのメタンガスなども、土壌の生産性が高まる農法で放牧すれば、吸収されてしまう構図です。

そこで、牧場で発散される二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスが、地中にどれだけ吸収されているのかを検証するために、島根大学生物資源科学部の増永教授と土壌の研究を行っています。
自然が相手ゆえ、手応えが得られるまで10年ないし20年先のことかもしれませんが、まずは保全に向けた取組から始めています。
隠岐の牧畑農法にヒントを得た、環境再生型放牧酪農を行うことで、土壌の回復力、生産性がどのくらい高まったのか、土壌の炭素吸収率がどのくらい上がっているのか数値化することを目指しています。